今回発表したiidaの新しいケータイ「LIGHT POOL」、そしてArt Editionsの2作品(プロトタイプ)は、1975年~1980年生まれのクリエーター4人が手がけている。「LIGHT POOL」は1980年生まれのプロダクトデザイナー・坪井浩尚さん、そして1979年生まれの音楽家/映像作家・高木正勝さん。一方、Art Editionsは1975年生まれの彫刻家・名和晃平さん、1976年生まれのフラワーアーティスト・東信さん。1975年~1980年の間に生まれた世代はポスト団塊ジュニア世代と呼ばれている。ポケベルからPHSそしてケータイと乗り移りながら、新しいコミュニケーションスタイルを築き、先導してきた世代だ。
ポスト団塊ジュニア世代=ケータイ世代の彼らがポケベルやピッチ(PHS)を操るティーンエイジャーだった1995年から15年。その歳月は、4人のような日本の新しい感性を担う素晴らしい才能を生み出した。ケータイやインターネットの先駆的ユーザーだっただけあり優れたネットワーク力を有する彼らは、一人ではなく群れを成して創作し、ジャンルの枠組みをやすやすと越境し、往来し、混合して新たな価値を生み出す新世代のクリエーターだ。
「人とケータイが共有する全ての時間をデザインしたい」。2007年夏に開催したau design projectの展覧会「ケータイがケータイし忘れていたもの」展で森本千絵さんはそう語った。この言葉は、au design projectからiidaを通して共通する理念と言っていい。ケータイは使っていない時でも、常にそばにいる。机の上、テーブルの上、バッグの中、枕元、あるいは手の中にあってなんとなく弄ってる、撫でてる、叩いてる。僕らは常にケータイのことをどこかで意識している。ケータイの先の繋がりを意識している。僕らとケータイはそんな関係性の中で時を共有している。ケータイからスマートフォンになったとしてもこのことは変わらないだろう。
ケータイを使っている時と同じくらい、あるいはそれ以上に使っていない時間のことを考えてデザインすること。人とケータイが共有する全ての時間をデザインするとはそういうことだと思う。ケータイを使っていない時のことも考えて形、色、光、音、触感、温度をデザインする。人とケータイとのインタラクションをデザインする。今回発表したモデルもまた、こうした理念のもとに誕生した。
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