ミラノサローネは、毎年4月にイタリア、ミラノで開催されるデザインのイベント。世界中のデザイナー、デザイン関係者、メディアが集まります。今年のサローネは4/12〜17に行われました。ミラノサローネというのは通称で、Salone Internazionale del Mobile(国際家具見本市)というのが正式名称。もともとは家具の見本市です。ちなみに"Mobile(モービレ)"って"モバイルフォン"とかじゃなくてイタリア語で「家具」の意味。動かないもの、不動産である建築に対して、家具は動くもの、動産だから"Mobile”。英語でも"Mobile"は、もともと「移動できる」という意味ですよね。
ミラノサローネのメイン会場はRho Fiera(ミラノ見本市会場)。幕張メッセよりも大きな見本市会場では、国際家具見本市と合わせて、Euroluce(ユーロルーチェ:国際照明見本市)やSaloneUfficio(サローネウフィチオ:サローネ国際オフィス見本市)、若手デザイナーの登竜門Salone Satellite(サローネ・サテリテ)などが併催されます。上の写真に"I Saloni"の文字が見えますが、これは"Salone"の複数形、英語で"The Salones"の意味。国際家具見本市を中心に複数の見本市から成るので"I Saloni"と総称されています。
ミラノサローネは、この見本市会場に留まりません。ミラノサローネの期間、市内のインテリアショップやギャラリー、デザインスタジオなどいたるところで展示イベントが開催されます。夜になると、そこかしこでレセプションが行われ、街中がお祭りムードに包まれます。この市内でのイベントはFuorisalone(フオリサローネ)と呼ばれています。"Fuori"は「場外」の意味。見本市会場の外で行われるからFuorisalone。イタリアのデザイン雑誌『INTERNI』が主催しています。INTERNIが会期中発行する無料のガイドはミラノサローネの必須アイテム。iPhone用のアプリもあります。
このように様々なデザインイベントが複合して出来上がっているのがミラノサローネです。全部のイベントをひっくるめてMilano Design Weekと呼んだりもしますが、日本ではミラノサローネという呼び名が定着しています。
さて、このサローネ、なんと今年で50周年。さらに今年はイタリア統一150周年なんだそうです(行くまで知りませんでした。。。)中世以来、小国の集まりだったイタリアは、1861年、ジュゼッペ・ガリバルディ将軍率いる「赤シャツ隊」の活躍を通してイタリアの大部分がサルデーニャ王国によって統一され、1861年3月17日イタリア王国が誕生したということなんだそうです。というわけで、今年のサローネにはイタリアの国旗、緑・白・赤のトリコローレをモチーフにしたデザインなど150周年を祝う作品がたくさん見られました。
一方、今年50周年のミラノサローネのテーマは、上の写真の旗に記されているように"50 years young."。家具輸出振興を目的に零細家具メーカーが集まって開催された1961年の第一回ミラノサローネ(Salone Internazionale del Mobile)は328社が参加し、入場者はわずか12,000人。それが、昨年2010年では2,775社、入場者は330,000人へと成長しました。50年の時を経て、ミラノは世界のデザインの中心に。僕が初めてミラノサローネを訪れたのは2002年。世界的なデザインブームを背景にミラノサローネが、より注目を浴び始めた時期でした。この2002年のサローネで、デザイナーの吉岡徳仁さんが紙の椅子Honey-popを発表し、世界の賞賛を得ました。以後、深澤直人さんやnendoなど日本人デザイナーが世界的に注目されるようになります。またトヨタやキャノン、東芝など日本企業がミラノサローネにこぞって出展するようになりました。
50年間、「生活」の質を追求してきた街、ミラノ。そのミラノの街の強さと明るさは、余震、原発、節電、自粛の日本の今とあまりに対照的でした。
Olivetti Lettera 32 雑誌広告(1963年頃)
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