iida Exhibition 2010 Summer: BOTANICA 東信
東さんの作品で最初に感銘を受けたのは、記憶を辿ると「ダチュラ畑を捕まえろ」だ。有毒植物であるダチュラ(チョウセンアサガオ)が檻に入れられている作品は、東さんが清澄白河で開いていたプライベートギャラリーAMPGで2007年10月に発表された作品。僕は、雑誌でそのビジュアルを見て強い印象を覚えた。それから「式2」。氷浸けになった五葉松の作品。それまで、華道にもフラワーアートにも関心が無かったけれど、植物という生き物を使った東さんの作品が生み出す感動に、いつか一緒に仕事をしてみたいという気持ちが日増しに高まっていった。しかし「植物」である。植物でケータイ?
2年という期間限定であったAMPGが終盤を迎える頃、2009年1月に僕らはAMPGを訪ねた。下町の風情の残る清澄の元印刷工場であったそのスペースでは、22回目の展示「hand vase」が開催されていた。そこにいたスタッフの方にそれまで行われた展覧会の写真を見せてもらった。この2年間、一度も足を運ばなかったことを悔やんだ。その年の4月、ミラノサローネの期間中にミラノのトリエンナーレで東さんと初めて会い、そこからArt Editionsの枠組みでプロジェクトを一緒に進める話へと進展していく。ところで東さんの作品は、「現代アート」なのか?とどこかで思いながら(笑)
樹脂や金属で出来て、壊れることはあっても死ぬことのない工業製品であるケータイ。芽が出て膨らんで花が咲いて枯れる植物。全く対照的な両者の間で思考を巡らせた時、どんな芽が出るのか?そんなプロジェクトになった。本物の植物に頼らず、常に植物を感じ意識できる仕掛け。
東さんから出てきたいくつかの提案の中に、色鮮やかなたくさんの植物がアレンジされたアイデアスケッチがあった。「これだ!」。そこから話は盛り上がり、今回発表する作品へと至る。海洋堂のつくる精密なフィギュアのような形で植物フィギュアを作り、それを使って東さんがアレンジメントを製作する。それはまたユーザー自身も自由にアレンジすることができ、ケータイに付けて持ち歩くこともできる。ディアゴスティーニみたいに、毎月とかあるいは、お正月、バレンタインデー、母の日、お月見、クリスマス等など、季節のイベントにあわせて、フラワーパックが届いて。。。本当の植物では無いけれど、毎日持ち歩くケータイ、あるいは毎日使うケータイの置き台と植物が出会うことで、これまでにはない人と植物との密接な関係を築くことのできる作品。「BOTANICA」はこうして花開くことになったのだった。
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AZUMA MAKOTO
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